ともしびの花 ~日河 翔の創作手帖~

作品のお知らせや創作活動に関すること、訪ねた寺社の紹介などを綴っています。

どうする、売れないKindle小説家。


こんにちは。タイトルどおりの売れない物書き、日河 翔です。

 

『くれなゐ君』をキンドルダイレクトパブリッシングで出版してから、一ヶ月が経ちました。

「小説」というジャンルが如何に売れないものであるか、よく分かっておりましたので、あらかじめ相当な覚悟をしておくために、出版前は様々なサイトを調べました。

私のように出版後の情報を探す方にとって、少しはお役に立てるかもしれないと思い、記事にした次第です。

 

一ヶ月を経た感想としては・・・

読んで下さるのは、ほぼ友人知人に限られるのではないでしょうか。

そして、今後その傾向に、ほとんど変化はみられないものと思われます。

キンドルアンリミテッドでは0円で読めるとはいっても、通りすがりの方が偶然読んで下さる確率は、相当低いでしょう。

タイトルを知っていて探しにいかないと、見つかりません。

調べ物をしている時は、キーワードで検索して見つけた個人出版の専門書を、購入したいと思ったこともあります。しかしそれが小説だったとしたら、見送ってしまうかもしれません。

小説というジャンルは、そもそも大変厳しいのです。

長いタイトルのライトノベルや、アダルト寄りの内容を含む小説は、また別です。

これらは、表紙の外注費用を回収できたり、副業的な収入源になるようです。

SNSやブログで影響力のある方は、「友人知人」を広く持っていらっしゃるという意味で、まだ読まれる機会が多いと思います。

 

タイトルをそこまで長くはできない。

アダルト寄りの小説は書けない。

表紙にアニメ風のイラストを使用することに、抵抗がある。(あるいは、人物のイラストは高額なので外注できない)

こういったことをお考えの、今後出版する方にアドバイスするとしたら。

  • 誰にも読まれない状態が当たり前、という認識を常に持つ。
  • たとえ開業届を税務署に提出していたとしても、あくまで趣味の一つだと思って割り切り、自分の予算の範囲内で取材し、資料を揃える。
  • 自分が何のために書いているのか、思い出してみる。

ということくらいでしょうか。希望のない内容で、本当に申し訳ございません。

 

誰にも読んで頂けなくなった時、虚しさを感じる日が来るかもしれません。

この趣味は単なる道楽にすぎない。

続けるか、やめるか。

書き続ければ、大なり小なり赤字は降り積もっていきます。

それでも続けるのか。

ここで、自分は何のために書いているのか、振り返ってみることが必要になります。

 

書くことが楽しければ、

書くことが自らの希望になっているのなら、

ぜひ続けるべきではないでしょうか。

 

私は以下の理由で書いております。

また農夫の例えを出しますと、隙あらば逃避しようとする姿勢は生涯変わらないでしょうが、おそらく最後まで彫り続けると思います。

shohikawa.hatenablog.com

 

赤字ついでに、ペーパーバック版を図書館に寄贈しようと思っております。

寄贈しても置いて頂けず、捨てられる可能性も大いにあります。

なぜ、自分の首を絞めるような真似をするのか?

それは、幼い頃母が買った、ほぼ自費出版の絵本がきっかけです。

 

地元限定かつ手売りで販売され、地元出身の人物を描いた、地元の教師が創った絵本。絵本は絶版となり、作者の先生方は他界しておられます。

美しい絵とは言いがたかったため、子供の頃はそれほど好きな本ではありませんでした。

しかしその後年月を経て、描かれた人物をモチーフにして小説を書きたいと思った時、この絵本は宝物になりました。

 

古本屋でも入手できない、貴重な絵本です。

ですが、市立図書館には今も残っています。

 

時を超えて、名も知らぬ誰かの希望になるのなら、

別の形で、また新しい命が芽吹いていくのなら、

そう思って図書館へ送り出したいと思います。

 

絵本に描かれた人物を主人公とした物語は、先の長い話にはなりますが、十年以内には出版できるのではないかと考えております。

絵本を小説化したものではなく、別物ですが。

もしその時までブログを続けておりましたら、ここで皆様にご報告させて頂きます。

 

さて。売れないKindle小説家は、これからどうするか。

答えは、果敢に「赤字街道を猛進いたします」!

 

著書のご案内

『くれなゐ君』

常陸宮の姫君は幼いながら、都一不器量で無教養と評判だった。

紅君(くれないぎみ)という通り名に惹かれ、元服前の少年・実孝は常陸宮邸で姫君を垣間見る。
まっすぐな姫君と、不器用な貴公子のすれ違う初恋は、都の異変とともに押し寄せた運命の渦に巻き込まれてゆく。

 

「あなたを殺しはしない、決して。この身など惜しくはないのだから」

 

二人を取り巻くのは先帝の長子・一の宮の死、短命だった斎宮、奇怪な流行り病・・・。出家を望みながらも、巫(かんなぎ)の血に目覚めていく紅君は、数奇な運命をたどり始める。

源氏物語の「末摘花」を下敷きに、一人の少女を軸として、美しい情景を交えて織りなされた平安王朝絵巻。