ともしびの花 ~日河 翔の創作手帖~

作品のお知らせや創作活動に関すること、訪ねた寺社の紹介などを綴っています。

石山寺参詣記 (1)

こんにちは、日河 翔です。

もう少し更新頻度を上げねばと、うっすら決意らしき思いを抱いてからはや三ヶ月。

心の奥底では、すでに白旗を掲げているところです(笑)。

更新頻度の低いブログで申し訳ございません!

見つけて頂き、立ち寄って下さった方、本当にありがとうございます。

 

前作『くれなゐ君』のペーパーバック版を出版した後、三月初旬に滋賀県大津市石山寺へ御礼参りに行ってきました。

なぜ石山寺かというと、上巻・第十七帖「石山」で主人公らが参詣した場所であり、物語の終わりまで御本尊様との関わりを描いているためです。

初めてお参りさせて頂いたとき、ちょうど上巻第十五帖あたりを書いておりまして、せっかくご縁を頂いたからと思い、石山詣でのくだりを入れました。

当初は、上巻・第十九帖「炎上」をラストとして終わろうと考えていたのですが、何故か作品が持つエネルギーのような(?)強さに引きずられて、後半ができました。

これも、石山寺の御本尊様のお導きかもしれませんね・・・。

 

早春に石山寺へ参詣したのは、今回が初めてです。

季節が異なるためか、足を運ぶごとに境内の印象が変わり、新鮮な気持ちになりました。

本堂へ上がる石段の下に、自然の大理石でできた洞門があります。

手水場の脇にある「くぐり岩」は、天然の胎内くぐりの状態になっています。

穴をくぐると願いがかなうというパワースポットであることや、奈良時代から存在する聖域であることを執筆当時は知りませんでした・・・。

今さらですが、初めて「くぐり岩」をくぐってみました!

お願い事を念じながらくぐればよかったのでしょうが、何だか厚かましい気がしてやめました。変なところで遠慮が出てしまいます・・・。

 

本堂へと続く石段の中腹に、小さなお社があります。

恥ずかしながら、ここが龍蔵権現社だということを長い間知りませんでした。

初めて石山寺を訪ねた時、何故か強烈な印象を受けたので『くれなゐ君』作中で描きました。思わず立ち止まらずにいられないような、インパクトです。

穏やかな春にお参りしたからなのか、初めての時とは随分印象が異なります。とても不思議な思いがしました。
主人公と亡父の親友が偶然巡り会ったのは、まさにこのお社の前です。

 

季節は、梅の見頃が過ぎようとしている頃でした。

梅の名所を訪れる余裕もなく、通りすがりの庭木をちらっと拝見する程度で、今年の梅花鑑賞も終わったなと諦めていたので、石山寺で出合えた時は心弾みました!

下の写真は、硅灰石前の梅の木です。

硅灰石とは、石灰石が噴き出した花崗岩接触し、熱作用で変成したものです。この作用で通常は大理石となるようですが、石山寺のように雄大な硅灰石になるのは珍しく、国の天然記念物に指定されているそうです。

石山寺というお名前は、この硅灰石が由来になっています。

 

梅の盆栽が沢山並べられていたので、その写真もご紹介したかったのですがまた後日。

石山寺参詣記(2)へ続きます。

 

<著書のご案内>

『くれなゐ君』

常陸宮の姫君は幼いながら、都一不器量で無教養と評判だった。

紅君(くれないぎみ)という通り名に惹かれ、元服前の少年・実孝は常陸宮邸で姫君を垣間見る。
まっすぐな姫君と、不器用な貴公子のすれ違う初恋は、都の異変とともに押し寄せた運命の渦に巻き込まれてゆく。

「あなたを殺しはしない、決して。この身など惜しくはないのだから」

二人を取り巻くのは先帝の長子・一の宮の死、短命だった斎宮、奇怪な流行り病・・・。出家を望みながらも、巫(かんなぎ)の血に目覚めていく紅君は、数奇な運命をたどり始める。

源氏物語の「末摘花」を下敷きに、一人の少女を軸として、美しい情景を交えて織りなされた平安王朝絵巻。