こんにちは、日河 翔です。
前回の更新日から、またしても二ヶ月経過・・・。ブログを書く習慣は、一体どこへ行ったのやら。いい加減にせよと自分を叱責したい、今日この頃です。
暑さに弱る感覚が消えないうちに、いつの間にか金木犀も散り、木々が少しずつ色づき始めましたが、はてなブログでは未だに早春の記事。
石山寺の後、京都の愛宕山にある月輪寺の参拝について書こうかと思っており、冬になってもブログでは「常春」状態が続きそうです。
さて、石山寺参詣記(3)で触れておりました「金龍竜王社」をご紹介いたします。
金龍竜王社は東大門にほどちかい『拾翠園』内に鎮座されています。
お隣は大黒天です。
前回訪れた時、大黒天様はお参りしたのですが、拾翠園は入っていいものかどうか分からず、ご遠慮したのでした。
今回は、参拝者の後に続いて足を踏み入れてみました。
緋毛氈のかけられた縁台があり、しばし足を休めることができました。
うららかな春の日差しのもと、美しい庭だなぁとぼんやり周囲を眺めていましたが、ふと池の傍へ寄りたい気持ちがわき・・・。
静かな池に建つ厳かなお社に、はっとさせられました。
この金龍竜王社は大日如来の化身であり、石山寺の守護神とのこと。
胸を打つ何かを感じ、長い時間そこに立ち尽くしてしまいました。
我に返って参拝させて頂きましたが、今回、出会わせて頂いて本当にありがたいと思いました。
参拝を終えて門をくぐる前に、ふと振り返って参道の写真を撮りました。
拙著『くれなゐ君』で描いたのは、この場所でした。
私にとっては、忘れがたい場所となりました。
門が近づいてくる。再びこの地を訪れるという保証もないが、一度(ひとたび)の別れとして千早は本堂のある方角を振り返った。仏門に入った後には、石の階(きざはし)を上ることがあるやもしれない。その日まで、緑したたる静謐を胸に刻んでおきたかった。
門をくぐろうとした瞬間、千早は幼い少女とすれ違った。
(『くれなゐ君』第十七帖石山より一部抜粋)
石山寺には、まだまだ紹介しきれないほど素晴らしい場所がありますが、今回の参詣記はこのくらいに留めておきたいと思います。
関西へお越しの際は、ぜひ一度石山寺へお参りになることをおすすめします。
最後に、石山寺のすぐ傍を流れる瀬田川の写真を載せておきます。
<著書のご案内>
『 くれなゐ君 』
常陸宮の姫君は幼いながら、都一不器量で無教養と評判だった。
紅君(くれないぎみ)という通り名に惹かれ、元服前の少年・実孝は常陸宮邸で姫君を垣間見る。
まっすぐな姫君と、不器用な貴公子のすれ違う初恋は、都の異変とともに押し寄せた運命の渦に巻き込まれてゆく。
「あなたを殺しはしない、決して。この身など惜しくはないのだから」
二人を取り巻くのは先帝の長子・一の宮の死、短命だった斎宮、奇怪な流行り病・・・。出家を望みながらも、巫(かんなぎ)の血に目覚めていく紅君は、数奇な運命をたどり始める。
源氏物語の「末摘花」を下敷きに、一人の少女を軸として、美しい情景を交えて織りなされた平安王朝絵巻。