ともしびの花 ~日河 翔の創作手帖~

作品のお知らせや創作活動に関すること、訪ねた寺社の紹介などを綴っています。

野宮神社へ行ってきました

 

8回目の校正作業は、下巻に入りました。コツコツと頑張っております。

 

先日所用で嵐山へ行ったので、この機に、かねてよりお訪ねしたかった野宮神社に、初めて参拝させて頂きました。
野宮神社は、『くれなゐ君』に千早(ちはや)の叔母として登場する皇女貴宮(あてみや)が、一年間籠って潔斎をした場所です。

 

野宮神社様のホームページより、ご由緒を引用させて頂きます。

良縁、子宝、学問の神様 野宮神社 ── 源氏物語の宮 ── (nonomiya.com)

野宮はその昔、天皇の代理で伊勢神宮にお仕えする斎王(皇女、女王の中から選ばれます)が伊勢へ行かれる前に身を清められたところです。嵯峨野の清らかな場所を選んで建てられた野宮は、黒木鳥居と小柴垣に囲まれた聖地でした。その様子は源氏物語「賢木の巻」に美しく描写されています。

野宮の場所は天皇の御即位毎に定められ、当社の場所が使用されたのは平安時代のはじめ嵯峨天皇皇女仁子内親王が最初とされています。斎王制度は後醍醐天皇の時に南北朝の戦乱で廃絶しました。その後は神社として存続し、勅祭が執行されていましたが、時代の混乱の中で衰退していきました。そのため後奈良天皇中御門天皇などから大覚寺宮に綸旨が下され当社の保護に努められ、皇室からの御崇敬はまことに篤いものがありました。

黒木鳥居と小柴垣は平安の風情を現在に伝え、源氏物語謡曲野宮でも有名な当社は、嵯峨野巡りの起点として多くの方が訪れられます。えんむすびの神様、子宝安産の神様として全国から崇敬を集めています。

 

黒木の鳥居とは、樹皮のついたままの鳥居のことで、鳥居の形式としては極めて古いものです。


私が参拝した日も、修学旅行生を含め、大勢の観光客がお参りに来ていらっしゃいました。賑やかな場所ではありますが、美しい苔に覆われた境内は、明るく清浄な気配に満ちていました。まさに聖地であると感銘を受けた次第です。

写真だけではとてもお伝えしきれないのが残念です。ぜひまた参拝させて頂きたいと思います。

 

著書のご案内

『くれなゐ君』

常陸宮の姫君は幼いながら、都一不器量で無教養と評判だった。

紅君(くれないぎみ)という通り名に惹かれ、元服前の少年・実孝は常陸宮邸で姫君を垣間見る。
まっすぐな姫君と、不器用な貴公子のすれ違う初恋は、都の異変とともに押し寄せた運命の渦に巻き込まれてゆく。

 

「あなたを殺しはしない、決して。この身など惜しくはないのだから」

 

二人を取り巻くのは先帝の長子・一の宮の死、短命だった斎宮、奇怪な流行り病・・・。出家を望みながらも、巫(かんなぎ)の血に目覚めていく紅君は、数奇な運命をたどり始める。

源氏物語の「末摘花」を下敷きに、一人の少女を軸として、美しい情景を交えて織りなされた平安王朝絵巻。